毒親シリーズ第二弾、今回は「絶縁」についてお話します。
\第一弾/毒親の特徴!お金関係は?母親や父親の特徴と過干渉についても!
毒親は老後と言われる年齢に達すると、「今まで育ててやったんだから面倒見ろ」と言い出します。「育ててもらった」というほどのことをしてくれたわけでもないのに。
過干渉な毒親ばかりでなく養育放棄していた親でも、自分の健康不安や経済状態を理由に依存してきます。
あなたの勤務先にまで電話があったり、家庭生活を邪魔されたり、寂しいと愚痴るかお金が要ると言い出すか。
この記事では、毒親の老後の面倒は見なくてはならないのか、絶縁できるのかを書いています。『事実上の絶縁』をするための手続きも説明しています。
毒親を取り巻く因果応報の考え方、仕返ししたい気持ち、兄弟差別の対処法も記載していますので、是非参考にしてください。
併せて、毒親を乗り越えてあなたがどう幸せを掴むのかが見えてくるはずです!!
毒親の老後は絶縁できるのか?
日本では、成人した子とその親の関係を法的に切ることができません。
民法では、親の生活が困窮している場合には、子どもには最低限度の扶養義務があると規定されています。
しかし、打つ手が何もないわけではありません。
『事実上の絶縁』は可能です。
どういうことかというと、下記3点が重要です。
・親に住所・電話番号を知らせない
・金銭の貸し借り、連帯保証関係を発生させない
・できる限り離れたところに住む(海外を含む)
これらのお話をする前にひとつ、心構えについてふれます。
本当に絶縁していいのか
『事実上の絶縁』と言っても、手続きは簡単ではありません。そして、相応の理由と覚悟が必要です。
まず、感情的にならずに冷静な判断で、本当に親と金輪際口を利かなくてもいいのかどうか、考えてみてください。
親だって人間です、子どもを育てるうえで間違ってしまうことも、失敗してしまうこともあります。自分が大人になって、「あの頃親も苦労してたんだな」と理解してあげることはできませんか?
自分の不幸を親の責任にしてしまっていませんか?
というのも、『毒親』という言葉が流行り過ぎている気がするのです。
毒親をキーワードに体験談を当たると、「自分が小学生のときに親が離婚して自分を気にかけてくれなかった」というものが出てきました。
それだけではご両親を毒親認定はできません。ご両親も自分たちそれぞれの幸せを求める権利があるのですから。
発達障害を患っている知人はいつも『毒親に過干渉されてきた』と言うのですが、客観的に見ると親御さんの心配も頷けます。
親子関係は愛憎悲喜こもごもです。
悪い方ばかり見て『毒親認定』したり、老後の面倒を見るのが嫌だから絶縁したいと思ったりするのでは、結論を急ぎ過ぎです。
親と絶縁しないと立ち行かない方へ
毒親と絶縁しないと自分の家庭や子どもが守れない、自分のほうが精神的に参ってしまうという方のみ、絶縁を考慮しましょう。
その事実上の絶縁の方法3点について、説明していきます。
親に住所・電話番号を知らせない
親に住所を知られないためには、「戸籍の記載」と「戸籍の附表」を見られないこと、「住民票閲覧制限」をすることになります。
親は直系尊属ですから、子の戸籍謄本を請求できます。そしてその「戸籍の附表」には現在までの住所が記録されているのです。それを見られたら困ります。
あなたの本籍地(戸籍のあるところ)を管轄する役場を知らせない
既婚者なら、すでに分籍して、あなたの世帯の戸籍があるはずです。
それを移動させましょう。「転籍手続き」をしてください。
未婚であれば、まだ親の戸籍にあなたの籍が入ってしまっています。「分籍手続き」をしましょう。
「分籍」しただけでは、親の戸籍にどこに移したか記載されてしまうので、その後さらに、「転籍手続き」してください。
本籍地は、自分が住んでいるところでなくて構いません。
住民票閲覧制限
住民票はその住所に住んでいるという書類そのもの。
しかし、成人した子(虐待被害者)は過去・現在の虐待を理由に、虐待加害者に閲覧制限をかけることができるようになりました。
住民票の閲覧制限をかけるまでの流れ・手続き
戸籍を分籍し、転籍後、親の知らないところに引っ越し、住民票を移しますが、引っ越してしまう前に、転入先の役所に「住民票閲覧制限の手続き」について問い合わせてください。
準備するものがあり、日数もかかります。
閲覧制限申請書類の一部として、親から虐待を受けたことを理由書にして提出するのです。
警察で調書をとってもらうことになるようです。
内容は、
・子どものころから虐待を受けてきた。
・就職後は、金の無心ばかりしてくる。
・加害者から、老後の介護を求められている。
・言うことを聞かないと就職先に連絡するなどと脅してくる。
といった説明を用意してください。
必要な書類がそろってから、速やかに引っ越し、転入手続きと、新住民票の閲覧制限申請をすぐ行います。
閲覧制限をしても止められないこと
毒親に介護が必要になった時に、自治体が職権で住民票を調べることがあります。
介護費用を本人、親族と自治体がどのように負担するか話し合うためです。
子には親の扶養義務があってしまうので、できれば弁護士を通して、最低限度の扶養料を「住所を知らせず」親に渡すという形をとるのがいいでしょう。
金銭の貸し借り、連帯保証関係
毒親との関係で一番切りたいのがお金の問題でしょう。
閲覧制限をかけていても、債権債務関係がある場合は、必要があれば住民票は開示されてしまいます。
例えば毒親が自己破産したときは、弁護士からコンタクトがあります。
連帯保証人になってしまっていたら、債権者からあなたへ取り立てが来ます。
毒親の住む家の名義にあなたの名前が入っていたら、競売にも関わります。
ということで、毒親から借金はしないこと。
連帯保証人にはならないこと。
債権があっても放棄することです。
海外転出(できる限り遠くに住む)
海外に転居すると、住民票には、例えば「令和○年○月○日 英国に転出」と記載され、追跡するのは困難になります。
海外での住所は現地大使館や領事館に「在留届」を提出しますが、「Aさんという人が管轄国内にいますか?」という個人的な問い合わせには大使館等は対応しません。
留学、ワーキングホリデー、国際ボランティア活動など、考慮してみてはいかがでしょうか?
仕事につければそれに越したことはないですが、就労ビザの発給が厳しい国もありますから、よく調べてください。
毒親から離れるためにそこまでするのかと思われる方、そこまでしなくていいレベルならラッキーではないでしょうか。
ただ、『毒親育ち』でPTSDなど精神的に痛手を負っている方には慎重になっていただきたい点もあります。
精神疾患に理解の深い国々はたくさんありますが、同時に外国語で生活するということは、新たなストレスを抱えることにもなります。
医者に自分の状態を語れるだけの語学は必要です。
毒親の老後は絶縁できるのか?ー因果応報な結果について
因果応報とは、自分が誰かに対してやってしまったことが、後になって返ってくる、自分も同じ体験をする事になるという意味です。
毒親については2方向に因果があります。
- 毒親が年老いてから、子に仕返しされる
- 毒親に育てられた子がまた毒親になり子に疎まれる
- の仕返しについては次の見出しで書きますので、ここは2番の、あなたが毒親になってしまったら、というお話をします。
まず、毒親にならない努力をしてください。
「人は傷つけられたら傷つけてしまう」「虐待されたら虐待する側になりやすい」と、まことしやかに語られます。
特に犯罪者を語るとき、「養育環境が悪かった」とか「親もヘンな人だった」などなど。
症例はたくさんあります。けれどそれは症例として集められたからです。
一般の世の中には、自分は傷つけられても、他人を傷つけない人のほうが多いんです。
「子どものころ虐待を受けたのに、大人になって虐待していない人の統計」って聞いたことありますか?
ないでしょう?
毒親に育てられて精神的に不調をきたしてしまう子は確かにたくさんいます。そして親になる気力を失ってしまう方も。
でも毒親に育てられてもしっかり親を務めている人のほうが多いのです。
友人の体験とネットの書き込みの比較
酒乱の父親とその鬱憤を自分にぶつけてくる母親との間に育った私の友人は、2児の母で趣味でラノベを書いています。
10代のころ既に、「自分の両親は親ではない、自分が面倒を見る相手、精神的に子どもだ」と悟ったそうです。
ふと検索したネット上では、「自分は毒親に育てられた。毒親のDNAが私を作っている。だから恋愛も結婚もしない。きっと私も毒親になる」という書き込みを見つけました。
ふたつを比較してください。友人との違いは歴然としています。
友人は親を突き離し、自分から動くことで難しい家庭環境を切り抜けました。
書き込みのほうは、「親は子どもに何かをしてくれるもの。されたから私も毒」という受け身型。
それぞれの親の毒加減にもよりますが、毒親育ちだから何かを諦めるって、それは自分で自分を呪縛しているだけです。
毒親にうんざりしているなら、こういう考え方ごとすっぱり切り離しましょう。
あなたは親を毒親だと認識したということは、あなたは親とは違うんです。考え方も感じ方も、人生の選び方も。
「こんな親にはならないぞ」と思ってください。
筆者の体験
私の親の毒は「借金」でした。やりくりのできない母。
給食費が払えない、授業料が払えない、電話が止まる、消費者金融の取り立て、それを理由に離婚寸前。
人には知られたくない恥ずかしい思いをさんざんしながら大きくなり、大人になったら出るわ出るわ、母の借金。
母が無心できる人ならまだよかったのですが、隠してしまうので明るみに出るときはいつもかなりの金額。
こちらももう慣れました。
「おう、今度のはいくら?」という感じです。
すっごく古いものは弁護士を通して「時効処理」できたものもありました。
それでも母を毒親とは思ってないのは、一生懸命育ててくれたと知っていること、お金の使途が母の遊び金ではなかったからですね。
毒親の老後は絶縁できるのか?ー仕返しをした場合について
年老いた毒親に仕返しして、因果応報させてやりたいと思ってしまうこともあるでしょう。けれど、それでは何も変わりません。
老人をイジメて自己満足するだけです。
仕返ししたい気持ちが起こるのは、相手をまだ親だと思っている、何かしてくれるはずだった相手だと思っているからです。
それは、親への依存が抜け切れていないということ。
「好き」の反対は「嫌い」ではありません。「無関心」です。
親への憎悪で頭をいっぱいにする時間がもったいないです、それより、放っておくのが正解。
残念ながら、毒親は年老いてから心を入れ替えたりはしません。
「この人はこういう可哀想な人なんだ」と早く諦めましょう。
そして仕返しという子どもっぽいことではなく、少し高めの位置から「ま、育ててくれたから少しは助けてあげようか」という心持ちでいればいいのです。
絶縁と仕返し
仕返しを済ませてから事実上の絶縁をしようとするのは止めてください。
相手の精神年齢はあなたより低いと想定すれば、「やったらやり返す」という図式になることがおわかりでしょう。
「やり返す」ために毒親はあなたを必死で探し出そうとします。
絶縁は静かに淡々と、気取られないように行ってください。
老後の面倒を見ながらネチネチ仕返し
これもあなた自身の精神衛生上よくないです。
相手がどんな毒親でも、ご逝去時やその後じわじわと、「自分は何てことをしてしまったのだろう」と後悔することになります。
「相手は毒親、絶対後悔しない!」と今どれだけ自信があっても、自分の良心はごまかせません。
毒親への復讐はあなたが幸せになること
毒親に復讐するなら、あなたが自分の幸せを見つけることです。
毒親は反面教師。
ダメだと言われてできなかったことをする、おまえには無理だと言われた夢を目指す、毒親が味わえなかった理想の夫婦関係を見せつける、子どもから信頼され惜しみなく愛す親になる。
あなたが毒親と過ごした時間は取り戻せなくても、あなたの人生は変えられます。
毒親の老後は絶縁できるのか?ー兄弟差別の場合について
兄弟の育て方に格差をつけてしまう毒親もたくさんいます。
このパターンの対抗手段は、兄弟姉妹でタッグを組むことです。
毒親のせいで兄弟が不仲になっている例がたくさんありますが、あくまで毒親のせいですから!
親が、上の子に厳しくしすぎ、下の子には甘すぎ、真ん中の子は放置しすぎ、などという成長過程で「兄貴は恵まれてる」とか「妹が妬ましい」とかの負の感情を溜め込んでいるのです。
成人したら一度腹を割って会話してみることをおススメします。配偶者や子どもは入れずに兄弟姉妹だけでです。
親の態度が自分にとってどう嫌だったか、それが姉の目にはどう映っていたのか、など、話してみると驚くほどスッキリします。
そして毒親についての情報を共有してください。
私がこれができたのは、母の借金問題が浮上して、誰が払えるか検討する中で、兄弟とメールでばんばん言いたいこと言い合ったからです。
結局、兄は長男だけれど親の面倒はみないと表明、父が家計を握り、弟と私がバックアップする形で落ち着きました。
事実上の絶縁する場合
毒親とは絶縁しても、連絡の取れる兄弟がいるかどうかはとても大切なことになってきます。
親がどんな暮らしをしているのか、お給料や年金などで食べていけているのか、生活保護が必要になるのか、いつ介護要になりそうか、ホームなどに入るとしたら、など、あなた側は知っていたほうがいいのです。
あなたの生活を守るために、突然弁護士や行政が連絡を取ってきた場合に備えるためです。
遠く離れたままで住所も知らせずに、介護のヘルパーさんの費用を負担するということもあり得ます。
お金を出すことで心の平穏が保たれるなら、それもいいと思いませんか。
そういう経済的余力をつけておくのも一つの『事実上の絶縁』のポイントになってきます。
毒親に遺産がある場合
毒親が遺言で遺産を不平等に分けるということも考えられますが、絶縁を考えるくらいの親子関係なら、親からは何ももらわないという態度に徹したほうが安全です。
絶縁するというのは、「遺産ももらわないけれど葬式にも出ない」、そのくらいの強い覚悟ですから。
毒親の老後は絶縁できるのか?因果応報な結果や仕返し兄弟差別について!ーまとめ
いかがだったでしょうか?
完全な絶縁は法律上できなくても、事実上の絶縁は可能で、そのための手順がご理解いただけたと思います。
ただ、自分の親を安易に『毒親認定』してあなたが幸せになる道を諦めてはいけません。
あなたが毒親に育てられたからといって、毒親になるかどうかはあなた次第です。
毒親には仕返しを考えるよりも、あなた自身が輝くほど幸せになって見せつけてやりましょう。
兄弟差別でわだかまりがある場合、毒親の育て方に起因しているので、兄弟同士で話し合ってみると、お互いの立場や気持ちが理解し合えるようになります。
絶縁する場合も、もし一人っ子でなければ、兄弟は仲間につけておいたほうが得策です。
毒親との『絶縁』はそう簡単ではありません。
生活は邪魔されないけれど目は配れる範囲にいたほうが楽なこともあります。
自分と自分の家族を守ることを主眼に、慎重に検討してくださいね。
おススメ書籍:斎藤 学著『「毒親」って言うな!』
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古い方、Kidsではないほうです。主人公ナッキーの両親は毒親ではありませんが、彼女が心に隠した寂しさの源がとても参考になります。子育てとは本当に難しいものですね。